今回は、このような悩みを解決していきます。
⚫︎筋肥大に必要な負荷量とは?
⚫︎最近の研究で分かった総負荷量という考え方(かなり大切)
⚫︎筋肥大はフルレンジかパーシャルレンジか?
筋トレ初心者の方にまとめた基礎知識【完全版】も合わせてどうぞ。
目次
筋トレは負荷量、関節可動域を誤ると筋肥大しない。
筋肥大に必要なRMとは?
「RM」とはRepetition Maximum(最大反復回数)の略語で、ある一定の重さに対して何回反復できるかにより、己の限界となる運動強度を判断する方法。
ベンチプレスを例にすると、全力で1回だけ挙げられる重量を「1RM」と判断して、この重量を「最大筋量」と定義される。
全力で5回まで反復できる重量を「5RM」、10回反復出来る重量を「10RM」と表す。この場合、5RMの方が10RMより重量が大きいことが分かる。
仮に、「1RMの80%」の場合は「最大筋量の80%」という意味になる。1RMが100kgでれば、1RMの80%は80kgの重量に相当する。
筋肥大に必要な10RM(ここ大切)
筋肥大を目的とした場合の負荷量として「過負荷の法則」というトレーニング方法がある。
これは、トレーニング強度が一定以上でなければ筋肥大の効果が得られにくいという法則だ。
最も効果が得られる重量は10RMであり、これは最大筋量の60〜80%のトレーニングに想定される。
1RMが100kgの人であれば、60〜80kgを10回反復して最低3セットを行う。
余談だが、リハビリで患者さんに運動負荷量を調整する場合も10RMで判断する場合が多い。筋肥大を目的とするのか筋持久力を目的とするかで負荷量や回数は変更する。
大切な事は、最初は10RMであった負荷量が、筋トレを続けていくうちに15RM、20RMと変化する事だ。この場合、過負荷の法則に基づいて適宜重量を変更する必要がある。
筋肉の成長は最低でも2〜3ヶ月というスパンが必要となる。この期間はあまり見た目の変化を感じにくいかもしれないが、体の中では大きな変化が起きているので頑張って欲しい。
筋肥大のメカニズムについて解説した記事です。合わせてどうぞご覧ください。
>>>筋トレで筋肥大が起こるメカニズムを解説する(挫折を解消)
筋肥大に必要なのは総負荷量
筋肉を肥大させる場合、今までは「高負荷のトレーニング」が当たり前で、過負荷の法則に基づいた筋トレによりパワーアップすると考えられていた。
ここ最近の研究では、「低負荷のトレーニングで回数と頻度を増やす事で、高負荷と同等の効果が得られる」と言われている。
筋肥大の効果を最大に引き上げるのは、運動強度ではなく、「総負荷量」で決定されるという事だ。
総負荷量とは、「トレーニングの強度×回数×セット数」によって決定される。
すなわち、10RMのベンチプレスと腕立て伏せを限界まで実施した場合と効果が変わらないということになる。※正確には腕立て伏せでは定量化しにくい
この事実は自宅トレーニング派は衝撃。
つまり、自重で行う様な筋トレであっても回数を増やして総負荷量を高めれば、ジムで雄叫びを上げながらトレーニングしている人と変わらない効果が得られるということが示されたわけだ。
自宅でのトレーニングでは、段階的に重量を上げていくことは出来ないが、限界突破まで回数を反復する事で「過負荷の法則」に従う事が可能という事だ。
筋肥大に必要な可動域は?
可動域で筋張力が変わる
関節が動かせる範囲の事を「可動域」と言って、「どの範囲まで動かすか」によって、筋肥大の効果が変化する。
関節を動かす範囲は、全可動域を使う「フルレンジ」と、中間の角度で動かす「パーシャルレンジ」がある。
※リハビリメモより引用 |
筋肉には、最も筋肉の張力(パワー)が発揮される関節の可動域がある。上腕二頭筋という肘関節を曲げる筋肉で言えば、50°〜70°くらいに曲げた位置が最も筋力が発揮できる。逆に、肘を伸ばし状態では、筋力が発揮しにくくなる。
右の図のようにアームカールを行う場合、肘を全て曲げるフルレンジよりも中間の角度で小さく動かすパーシャルレンジの方が楽に感じる。
腕立て伏せに置き換えてみると、肘をあまり曲げず胸が付かない方法と、手を大きく広げて胸が付くまで反復するとでは大胸筋の負荷量に違いがあるのが分かると思う。
疲労が見られると、関節を動かす範囲が小さくなった経験もあると思うが、それは身体が無意識に、最も楽にパワーを発揮できる範囲に動きを合わせようとしているからだ。
筋肥大に効果があるのはフルレンジ
結論、フルレンジでの筋トレだ。
確かに、パーシャルレンジは筋力が発揮されやすい運動範囲となるため、フルレンジよりも運動負荷量を上げられて高強度のトレーニングが可能だ。
しかし、関節を動かす筋肉の総負荷量を見ると、フルレンジの方がより多く参加している事が分かっている。
筋肥大を目的としているのでれば、フルレンジでのトレーニングが推奨される。
とはいえ、フルレンジは怪我のリスクもあるので注意が必要。
負荷量を高めると気になるのが怪我のリスク。
フルレンジはパーシャルレンジより筋肉を大きく伸ばしたり、縮めたりするため、筋肉への負担が大きく筋損傷が起こりやすいとされている。
「フルレンジでトレーニングを行う場合は、パーシャレンジよりも筋損傷の回復時間が延長することを考慮する必要がある」
ことを覚えていて欲しい。
高負荷でトレーニングを行う場合、怪我のリスクを避けるために、パーシャルレンジで行うか、フルレンジの手前で運動を切り替えるのも大切ということだ。
筋トレは負荷量、関節可動域が大切。
筋トレで筋肥大を起こすためには必要なこと
✔︎トレーニングに負荷量を10RMに設定
✔︎自重で行うトレーニングも総負荷量を高めれば筋肥大が可能
✔︎トレーニング中の関節可動域はフルレンジが最も筋肥大を起こす。
以上のことを踏まえてトレーニングに取り入れてみて欲しい。